もりてんの日記

クライミングとたまにそれ以外の記録

20181107大台ケ原「トゲトゲの草とエゴエゴのクライマー」

11/7(水)
T中さんに誘っていただき、有給をとって奈良の奥地、大台ケ原へ。目的は全9ピッチのマルチピッチルート「1995サマーコレクション」5.10Cを登るためである。
もり家近くまで迎えに来てもらい、5:45に出発。8:00に大台ケ原ビジターセンター着。


大台ケ原西大台は利用調整地区に指定されており、自然環境を保つために、1日の入山者数に制限がかけられている。
そのため、入山には事前に申請と入山手数料の支払いが必要で、所定の手続きを済ませた後に送られてくる入山証を持ってビジターセンターで講習を受けて初めて、入山が可能になる。


8:30からの講習を受けるため受付に行くと、クライマーなら早く登りたいでしょうということで、早めに講習を受けさせてもらえた。
10分ほどの講習。内容はハイクルートの利用方法や大台ケ原の植生がいかに稀有なものであるかということの説明。


基本的にハイクルート以外の立ち入りは禁止されており、クライマーは大目に見ているといった感じの説明だった。
ハイクルート以外に足を踏み入れるということは、貴重な植生を少なからず荒らすことになる。それでも登るだけの価値のあるルートなのだろうか?
これは、完全にクライマーのエゴだ。登ってみたら答えは出るのだろうか。


ちなみに、ルート名の通り、サマコレが開かれたのは1995年。西大台が利用調整地区になったのは2007年と聞いているので、ルート自体はそれよりずっと前からあったことになる。
だからどうというわけでもないが。


9:00前に駐車場を出発。
しばらくハイクルートを下りていき、目印の看板からルートを外れてトラバースして行く。
小ルンゼを過ぎ、二つ目のルンゼを下りて行く。ガレガレで踏み跡も全くない。慎重に下るがかなり疲れる。トゲトゲの草が行く手を阻む。痛い。叫ぶ。こいつ嫌い。


30分ほど下り、沢筋が見えたあたりで右にトラバース。
岩壁伝いに歩いて行くとサマーコレクションに辿り着いた。立派な岩壁だ。


着いたのが10:00ちょいすぎ。思ったより時間がかかってしまった上に久々の藪漕ぎでかなり疲れた。


少し休憩を挟んでいざ登攀開始。
結果から先に言うと、チームオンサイト達成。なのでムーブ云々は置いておいて、ピッチごとの内容を大雑把に書こうと思う。


1ピッチ目はロープなしでグイグイ登る。
やがて見つけたボルトに有名なプレートを発見。気合が入る。

f:id:moridley:20181203132257j:image
ちなみにサマコレはオールボルトプロテクションである。


2ピッチ目はT中さんリードで、以降つるべで行くことにする。こうすると核心ピッチはT中さんに突っ込んでもらえるので僕としては大変ありがたい。
隠れ核心と言われる2ピッチ目、悪い手と乗り込み。あーこういうクライミング久しぶりだー。怖い怖い楽しい怖い。

f:id:moridley:20181203132336j:image


3ピッチ目。もりリード。最初の左トラバースが手が見つからず緊張。そのあとは気持ちのいいガバクラ。


4・5ピッチ目。ここは繋げて。T中さんリード。4ピッチ目が核心らしい。ムーブが面白いのか田中さんは核心と思われるところで楽しい!と叫んでいる。
続いてぼく。出だしわるっ。ここ核心じゃないよな?ヌンチャク掴みたくなるわ。と思いながら核心部まで。なるほど、T中さんのトライを見てホールドの見当をつけて行ったから比較的楽に登れたが、手の順序を間違えると一気にしんどくなる。面白い。
けど2ピッチ目の方が悪いかな。


6ピッチ目。もりリード。ここからは5.6-9のゆるいピッチが最後まで続く。
ブッシュ帯のテラスから気持ちの悪い左トラバース。途中またしてもトゲトゲの草に阻まれて叫びながら登る。冗談抜きで落ちるかと思った。こいつも貴重な植物なんだろうか。憎い。


7ピッチ目。写真を撮りたかったのでリードを代わってもらう。高度感抜群のガバガバハンドトラバース。気持ちい~。ここだけ日本の岩場じゃないみたい。

f:id:moridley:20181203132441j:image
f:id:moridley:20181203132436j:image
8ピッチ目。T中さんリード。高度感と相まってグレード以上にすごいクライミングをしている気分になる。楽しい。

f:id:moridley:20181203132507j:image
が、ライン取りが若干不自然で、面白くなる方へ無理矢理にラインを取っている気がする。


9ピッチ目。最終ピッチ。もりリード。ここもライン取りが・・・。高度感を感じやすい右カンテに無理矢理露出する感じ。開拓クライマーのエゴを感じてしまう。


そしてトップアウト。
16:15。合計5時間45分の登攀。思ったより時間がかかってしまった。ルートファインディングで所々迷ったのがよくなかったのと、二人ともがっつり立ち込みクライミングが久しぶりで、つま先パワーが早々に尽きて、ピッチ間の休憩を取りすぎたのが大きな原因か。


鳳来通いで自力が上がったと思い込んでいたが、どっかぶりはよくてもクラシックはつま先のパワーが不可欠だ。クライミングって難しい。


とりあえずチームオンサイト達成で嬉しい。グレード以上に、5ピッチ以上のマルチは初めてだったので、達成感は一入だ。


薄暗くなってきた山中を、GPSを頼りに尾根伝いに歩いて行く。やがてハイクルートに出て駐車場着。もうクタクタ。


ビジターセンターでは、予定より帰りが遅くなってしまった僕らを管理人の方々が心配して待ってくれていた。
笑顔でお疲れ様でしたと言っていただいて、申し訳ないやら嬉しいやら。


お互い疲れ切っていたので寄り道せずに帰路についた。


自然保護区域に入ってにまで登る価値があるルートなのか、という話だが、登りながらあれこれ考えていたが結局登り切ってみても答えは出なかった。
けれど、また登りたいしもっと色んな人に登ってもらいたい、そう思えるルートだった。